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【第26章】終わる世界②

【第26章】終わる世界?

 

 

聞き慣れた駅のアナウンスとともに、ホームに電車が滑り込んで来た。金曜の夜8時。車内にはこれから飲みに繰り出す会社員や、学校帰りの学生たちで賑わっている。僕は扉付近の鉄棒によりかかって、股間の勃起を周囲に悟られないよう前屈みになりながら、もじもじとしていた。すぐ隣には可愛らしい女子高生が1人、つり革につかまって立っており、胸元をかすかにのぞかせながら電車の揺れに身を任せている。じわじわと股間を熱くさせている僕は、何度自らを戒めても、どうしてもその子の体を舐め回すように見てしまうのだった。いったい何日分たまっているのか、オナニーを禁じられた体は僕の精神を支配し、しじゅう変態的なことしか考えられないみじめな男にしていた。


 

列車がやがて複数の線が乗り入れている大型駅に着き、車内は急に混み合いだした。さきほどの女子高生は乗り込んできたサラリーマンの集団に押されて、ぴったりと僕の体に密着した。とても小柄で、身長は150センチくらいではないだろうか。半袖の白ブラウスに、濃いグリーンのスカート。黒のハイソックスが、期せずして男の劣情をそそっている。部活帰りなのだろうか、肩からはテニスのラケットを提げていた。

ショートヘアの黒髪が美しいその少女の胸は、体格に似合わず大きくふくらんでいた。そのやわらかい感触が、電車が揺れるたびに僕の右腹にぎゅうぎゅうと押しつけられる。汗ばんだ胸元からは、ピンク色のブラジャーがちらちらとのぞいて、僕の脳を刺激していた。彼女の髪からわずかにシャンプーのような清潔なにおいが漂い、ぼくはしばし妄想の世界に陶酔した。

 

 (ハァ・・・ハァ・・・やばい、ばれたら大変だぞ)

 

 僕はこみ上げる劣情をなんとかなだめようと必死になった。もういつから射精をしていないのか、僕の下半身はたまりにたまった性欲でパンパンになり、今すぐ解放してくれと本能にささやきかけてくる。興奮が最高潮に高まり、僕はおむつの中で、勃起したチンポの先が金属の檻にキスをするのを感じていた。

 

      * * *

 

 10分後、電車は目的の駅に到着した。ホームに流れ出す人の河の中で、僕は思いがけない誘惑にさらされたことにため息をつき、改札へと向かった。あやうく逮捕されるところだった。僕は話したこともない少女に興奮し、公共の場で襲いかかりそうになった自分を哀れに思うと同時に。強烈な情けなさを感じていた。

 

「・・・あっ」

 

改札へ続く階段を下りている途中、僕は小さく声を上げた。小便がしたくなったと感じたと同時に、おむつの中に今日3度目のお漏らしをしてしまったのだ。階段の途中で突然立ち止まって身をふるわせている僕を、人々はけげんな表情を向けながら追い越していった。まさかお漏らしに気付かれたはずはないだろうが、僕は恥ずかしさに顔を赤くし、陰鬱な気分をより深くさせた。外を歩けば少女にすら劣情を催し、その10分後にはおむつの中に小便を漏らす。僕はもう、まともな人間ではないのだ・・・。

 

 

 

 改札を出たところで、メモしておいた番号に確認の電話を入れることにした。携帯電話がないので、仕方なく駅の公衆電話に10円玉を投入する。携帯が普及してからというもの、公衆電話というものは絶滅状態にあると思ったが、探せば意外とどこにでも残っているものだ。

 

「・・・あ、佐藤です。・・・はい、はい、今北口改札に着きました。ええ・・・ローソンを左に曲がって、まっすぐで・・・」

 

先ほど名乗った偽名を名乗ると、慇懃な口調で話す男性店員が道を誘導してくれた。きょろきょろとあたりを見回すと、店員の言う目印のコンビニが目に入る。迷わないように、ぼくはしっかりと道順を記憶した。

 

「ええ・・・それでいいです。時間ですか?ええと、何分のがあるんでしょうか・・・はい、じゃあそれで・・・。ああ、そういうのはいいです・・・」

 

当店のご利用は初めてですよね、コースはどういたしますか、クーポン券のご利用などはございませんか。にこやかな口調で、いろいろと質問してくる店員。僕はそのどれもにあいまいな返答をして、電話を切った。もうすぐ咲希に会えるかもしれないというのに、全く気分は高揚しないままだ。財布の中が心許ない。夫婦共用にしていた口座のキャッシュカードは咲希とともに姿を消しており、僕に残されたのは結婚前に貯めていた10数万円の貯金だけだった。僕はコンビニのATMでそのうちなけなしの3万円を下ろすと、店員に言われたとおりの道順で、都内有数の歓楽街へと歩き始めた。

 

* * *

 

猥雑な通りの一角にある、ややこぎれいなラブホテル。僕はその一室で、ピンク色のシーツに包まれた大きなベッドに腰を下ろしていた。「お部屋に入られましたら、確認のためもう一度お電話を下さい」と言われたことを思い出し、枕元に備え付けられた電話でもう1度、あの番号をコールする。

 

「はい佐藤様、お部屋番号は402でございますね。さくらさんすぐにお伺いしますから、ドアの鍵を開けてお待ち下さいませ」

 

 身じろぎもせず、ベッドに座って待つ。心臓の高鳴りがやまず、僕はごくりと固唾をのんだ。手にじわじわと汗をかく。別人であってくれと願いながら。事ここにいたって、そんな奇跡はおきようはずもないのに。僕は頭を抱えて、心の中で初めて神様に祈った。そのドアの前に立っているのが咲希でありませんように。全てが僕の勘違いでありますように。こんなところに、咲希が来るはずがないんです・・・。

 

ピンポーン。

 

4分後、部屋のチャイムが鳴った。ドグドグという心臓の音が、まるで耳のすぐ側で鳴っているように感じる。緊張のため、口の中が乾燥してとても不快だ。僕はのろのろと立ち上がり、恐怖と期待がない交ぜになった複雑な感情を押し殺して、ついにそのドアを開けた。

 

 

 「こんばんはー、『人妻不倫SM倶楽部』のさくらでーす♪」

 

 

 (――ああ、やっぱり・・・)

 

 

 サイトの写真で見たのと同じ、不自然な爆乳。ラメだらけのグロスを施され、艶めいた唇。マスカラでゴテゴテとしたまつげに、くるくると巻かれた金髪。ブラウスのボタンは乳首が見えそうなほどまで外され、男に白い乳房を見せびらかしている。そこに立っていたのは、風俗嬢らしく淫らな服装をし、にこにこと営業スマイルをする僕の最愛の妻、咲希だった。

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No title

風俗嬢になった妻とのご対面とは恐れ入りました。

変わりすぎて驚きと期待が一杯です。

煙草も普通に吸っちゃうんですかね~
[ 2010/06/03 19:44 ] [ 編集 ]

No title

ひろ様



いつもコメントほんとに嬉しいです。もう書き上がってるので、今晩続きを更新できる予定です。すぐ終わらせようと思ってたんですけど、なんだか長々続いちゃってますねw きちんと風呂敷たためるといいんですが、とりあえず応援のほど、よろしくお願いします。
[ 2010/06/03 20:23 ] [ 編集 ]

No title

貞操帯というのを直に見たことがないですが、南京錠を外せばいいなら、金きりのこで地道にやれば壊せるよな…と思いました。

慎重にやらないと危ないけど、貞操帯とやらがかえって保護してくれてるような気がするし。

性能は悪いけど、ダイソーで100円で買えます。(いいやつはもっと高い)



わざわざ言わなくていいかなと思いましたが、永遠にオナニーできないとかはちょっと大げさかなと気になったので。



余計なこと言ってすいませんでした。これからも頑張ってください。
[ 2010/06/03 22:01 ] [ 編集 ]

No title

匿名希望様



そうですねー、やろうと思えばこれくらいの貞操帯ならなんとでもできる気がしますね。レスキューかお医者さん行けばなんとかしてくれそうですし。まあ倉田が貞操帯をつけたのは完全に自慰を禁止するためというよりは精神的に隷属意識を持たせるためなので、まあプレイの一環だと思っていただければw



工藤さんもこのあとの展開で貞操帯プレイが大好きな人になりますから、金切りのこを買いに走ることはなさそうですねw
[ 2010/06/03 22:16 ] [ 編集 ]

リッチドールの奈々子です。宜しくお願いします。+.(・∀・).+ http://mobi.l7i7.com
[ 2012/10/18 03:34 ] [ 編集 ]

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